黄昏色のオーディオ使い

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インプレッションを採取しました

本日秋葉原補聴器のリスニングラボでインプレッション(カスタムIEM用耳型)を採取してもらいました。同店はeイヤホンが入っているビルの地下一階に在り、補聴器やカスタムIEMに関する各種のサービスを提供しています。昨日横浜へ出張する機会があったので、近くのホテルに一泊して、今日秋葉原へ行ってきました。

私にとって初めての経験なので不安もありましたが、インプレッションの採取は想像していたよりずっと簡単でした。平日だからか、他に客もおらず待たされることもありませんでした。最初に同意書の内容を読んでそれにサインをし、続いてインプレッションの採取方法について担当者から説明を受けました。口の開き具合によって外耳道の形状が変化するので、採取中は一定の開口状態を維持する必要があります。その方法として4つあるそうです(こちらにインプレッションの採取手順と方法について詳しい説明が掲載されています)。それらの中から私は割りばしを縦に口に咥える方法を選びました。一旦採取作業が始まると時間は7〜8分で終わりました(耳孔に注入した印象材が固まるのに5分かかる)。拍子抜けするほど簡単でした。

下の写真が今回取ってもらった私のインプレッションです。
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採取された自分の耳型を観ると、外耳道部分が結構太いことに驚きました。私は日頃からイヤホンを使っているので、外耳道が膨らんでしまっているみたいです。そして、左側と右側の耳孔の形状にかなり差があることにも驚きました。これはほとんどの人がそうらしいです。

左右で耳孔の形状が異なるということは、ユニバ機を使っているときは左右で鼓膜に対するノズルの向きやイヤーピースによる耳孔の密閉度に差が生じていることになります。つまり、ユニバ機では実際には左右でわずかにバランスの異なる音を聴いているということです(コンシューマ機にも同じことが言えます)。新しいイヤホンを初めて試聴したときに左右の音のバランスに微妙な差を感じることが良くあります。その違和感はイヤホンの音を聴き込んでいるうちに段々小さくなっていきますが、これは脳が聴覚音の補完をやってくれているからなのでしょう。インプレッションに基いて作成されたカスタム機ではイヤホンの耳孔へ装着状態の左右の差が極端に小さくなります。つまり、実際の音の左右バランスがほとんど同じになる訳です。これによって音の分離感や定位感が格段に向上します。これがカスタムIEMの大きなメリットです。

今回インプレッションを採取したのは、これを使って特にカスタム機を作成するためではありません。残念ながら、いまのところすぐにカスタム機を作成する予定はありません。国内で販売されているカスタムIEMは一番安価な入門機でも5万円位からです。エンリー・クラスの機種はいずれも10万円を超えており、さらにその上のクラスは20〜40万円まであります。カスタムIEMは特注品なので高価になることは理解できますが、それにしても価格が高すぎて私にはとても手が出ません。カスタムIEMを作る別の方法として、中古機をリモールド(シェル内のドライバを取り出し、それを使ってカスタム機を作成する方法)するという手もあります。この場合は、中古機の本体とインプレッションをメーカーへ渡してカスタム機の製作を依頼します。新品のカスタム機を買うよりずっと安く費用を抑えることができるので、私はいつかこの方法でカスタムIEMを作ってみようと思っています。

もう一つの別の方法として、比較的な安価な中華IEMでカスタム機を作るという手もあります。中華イヤホン・メーカーの中にはカスタムIEMの製作をやってくれる所がいくつかあります(メジャーIEMメーカーの機種も中国のメーカーによって受託製造されている物が多いらしいです)。私はすでに中華ユニバ機を何個か持っていますが、その中には5万円以下でメジャーIEMメーカーのエントリー機に迫る音質を持っている機種も存在します。それらの中から一番自分の好みに合った音質の物を選んでカスタム機を作ってみたいと思っています。いまその機種のメーカーにカスタム機製作ができるかどうかを問い合わせ中です。
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2017-05-16 20:40 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』を観てきました

今日用事があって長野へ行ったので、そのついでに『劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』を観てきました。権堂駅の近くに在る長野グランドシネマという映画館でです。

2/18に公開されたばかりで、土曜日の午前11時代の一回目の上映回だったこともあり、スクリーン館内はほぼ満席状態でした。お客を見渡すと中学生から20代までが大多数で、親子連れを除くと中年以上の人はほとんどいませんでした。『ソードアート・オンライン』(SAO)は若年層のオタクに圧倒的な人気があるらしいので、その様子が映画館の客層からもうかがえました。

一応感想も書いておきますが、私にはいまいちピンと来ず、本映画の世界にのめり込むことができませんでした。ストーリーは良く出来ており、作画も圧倒的にきれいで登場人物達も良く動き回るのでスクリーンから眼を離すことができませんでしたが、私はまるで別世界の出来事を望遠鏡で眺めているような気分で観ていました。TV版を観ていたときも感じていたことですが、SAOという作品の舞台であるVRやARによるゲーム世界とその中で起きる出来事に私はどうしてもシンパシーが湧きません。TwitterやLINEを日常的に使っているのは大多数が若者で、仲間と常につながっているという感覚を知っているのは彼らだけです。いまの世の中で、SAOの世界に共感できるのはそういう人達だけなのだろうと思えてなりませんでした。

私はいま周りに家族や友人が一人もいない環境で日々暮らしています。生まれつき一人で行動することを好む質だったので、いまの生活に寂しさはまったく感じません。SAOの世界観は「常に仲間と共にありき(we are always together)」であり、いまの若者にとってそれは当たり前のことなのでしょう。この世界観は私には違和感の方が大きく、大小の差はあっても40代以上の人は同様に「自分>仲間」という意識を持っているんじゃないでしょうか。いまの若者は「自分≧仲間」という意識がかなり強いんじゃないかと想像しています。世代論になってしまいますが、本映画を観ながら、世界の中での自身の実在感について20〜30代までとそれより上の世代では大きな意識の差が存在するんじゃないかと思ってしまいました。

それから、本映画の「ゲーム世界での記憶を取り戻すために戦う」というテーマにもあまりシンパシーを感じませんでした。ゲーム世界での記憶がなぜそれほど大切なのか、私には感覚的には理解できていても深い部分では理解できないからです。そういう意味では、キリトやアスナ側よりむしろ敵側のエイジや重村教授の方に共感を覚えました。「ゲーム世界で死ぬと現実でも死ぬ」という設定こそがSAOの肝であり、そういう極限状況での体験だからこそかけがえのない記憶なんだというのは理解できます。しかし、それは結局戦時下での軍隊体験と同じではないかと思ってしまいました。戦時下では軍隊に入って戦った者もいれば、戦闘に参加せずに銃後で一般人として暮らしていた者もいます。数で言えば、圧倒的に後者が大多数です。死と直面する戦時下での軍隊仲間はお互いに強い絆で結ばれ、その経験は一生忘れられないものだと良く言われます。確かにそうなんだろうなぁというのは想像できます。SAOのゲーム世界でも、キリトやアスナのようにモンスターとの戦闘に積極的に参加した者もいれば、ユナやエイジのように戦闘に参加せずに暮らしていた者もいるはずです。数で言えば、むしろ後者が多数派だったのではないかと思えます。

戦争時代の体験を積極的に語る者もいれば、語りたがらない者もいます。戦闘には参加せずに、ただひたすら厳しい生活に耐えながら戦争が終わるのを待っていた人が大多数でしょう。そういう人達にとっては戦時下で過ごした日々は辛い記憶でしかなく、死んでいった人々へのやましさもあるので戦争を語りたがらないのでしょう。空襲を受けた街では多くの民間人も亡くなっており、そういう光景を目にした人ならなおさら死者へのやましい気持ちが強いはずです。戦争に参加した人々と同様に、こういう銃後の人々の想いも尊重されるべきです。キリトやアスナは戦争に積極的に参加した側の人間です。人々の感動を呼び起こすような物語が起きるのは戦争に参加した側なので、そちらにフォーカスが当たるのは仕方がないですが、それは「戦時下の物語」であることを意識しながら観るべきものです。私には本映画は結局戦争映画と同じテーマを扱っているように思えてなりません。深く考えると本映画のテーマはここまで重いものなのですが、このテーマを題材として扱っていても、その重さをしっかりと意識して創られているようには感じられませんでした。そして、本映画を観た若者達がこのテーマの重さに気づけるとも思えません。ここまで深く考えながら観るべき映画ではないことは判っているつもりでした。TV版からSAOの世界観への違和感は予測していましたが、テーマの重さにまで想いが及んでしまったことが私が本映画を楽しめなかった理由だったように思えます。

別の話題なりますが、私は昔長野に住んでいたことがあります。11年前に引っ越してしまったのですが、長野へ行ったのはそれ以来です。長野駅の善光寺口側は駅ビルも駅前もすっかり近代的な佇まいに変わってしまっており、別の街に来てしまったのかと思うほどでした。私が長野に住んでいた頃は駅周辺でさえ古い建物が多く寂れた雰囲気が漂っていたものですが、いまはすっかり小奇麗な街になっていました。上田からは50分位で行けるので、これからときどき長野へ遊びに行こうかと思います。車を持っている人は軽井沢へ行く方が多いのですが、私は電車での移動なので長野の方がアクセスが楽です。

2017-02-25 18:13 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

MaGaosi/HLSX BK50 レビュー

上田は先週から少し気温が上がって春の兆しが感じられるようになってきました。菅平高原の山々は積雪の白さがかなり減ったので、確実に春が近づいていることが目にも観えます。朝の最低気温はまだ零下ですが、最高気温は10℃を超える日が多くなってきました。身体が寒さに慣れてしまっているので、0℃前後なら朝暖房をつけなくても耐えれるようになってきました。

さて、前記事でMaGaosi/HLSX 808という中華イヤホンを紹介しましたが、同じメーカーから現在他に4種類のイヤホン製品が販売されています。そのすべてがハイブリッド型なので、HLSXはどうもハイブリッド型イヤホンを得意としているメーカーのようです。これらのうち中華イヤホン・マニアから一番高く評価されているBK50という機種を入手済みなので、本記事でそのレビューを書きます。このBK50を入手したのは去年の12月です。

私が入手したBK50はマイクつきのモデルですが、マイク&リモコンなしのモデルもあります。

なお、本レビューは100時間程度のエージングを行った上で書いています。箱出し直後は高音域のシャリつきが目立ちましたが、その傾向はエージングによって大分改善しました。また、エージングによって音の粒立ちが良くなり音場も大分広くなりました。

特徴、外観


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HLSX BK50は口径10mmのチタン振動板ダイナミックとBAドライバを1基ずつ搭載した1DD+1BAのハイブリッドイヤホンです。ドライバの詳細は不明ですが、もしかするとHLSX 808と同じ物を搭載しているのかもしれません。

BK50のハウジングの素材は木とアルミ合金の組み合わせです。本体ボディのサイズは標準的で、重量は軽めです。ステム径は標準より少し太めです。全体的な造りは良いですが、細部に少しあまさが見受けられます。背面はメッシュ状になっており、この部分からかなり音漏れします。ケーブルの線材はLC-OFCらしいです。ケーブルの表面はゴム状で手触りは良くありませんが、柔らかいので癖はつきにくいです。

製品の付属品は、4セットのイヤーピース(シリコン製S1/M2/L1セット)とケースのみです。

音質印象


HLSX BK50の音を聴いて、特に印象が強かった点を先に列記します。

  • 見通しの良さが印象的なすごく聴き易い音質感
  • 価格からは信じられないほど質の高い音場感
  • どんな音楽もかなり満足度の高い音で聴くことができる
  • ボーカルや大編成オーケストラ物の相性が抜群に良い

高音域は量感も伸びも充分にあります。透明感と見通しの良さが印象的な染み渡るような優秀な質感です。ただし、音源によっては若干シャリつきを感じることがあります。中音域は豊かな艶があり、音の厚みも充分に感じられその存在感は特筆モノです。低音域の量感は充分です。力感はそこそこですが、締りやキレは物足りなく少し膨よかでボワつき気味です。十分に制動が効いておらずやや緩めな印象はありますが、広がりや深みは結構ありなかなか上質な低音です。周波数特性は高音側と低音側を少し持ち上げたV字型ではないかと思います。全体的に抜けが良く見通しの良い音で、しっかりと作り込まれた感じがありながら自然な印象もする、すごく聴き易いリスニング系のトーンバランスです。

音場はかなり広いです。どの音域にも豊かな残響・余韻があり、横方向への広がりは充分にあります。物足りなさはありますが、奥行き感もそこそこあり、見晴らしの良さも感じられます。分離感はそこそこですが、定位感は結構あり、楽器の鳴っている位置が判り易いです。解像感もなかなか優秀な印象です。HLSX 808と似ている音場感ですが、BK50の方が残響・余韻がより少なく音像がくっきりていて奥行き感があります。HLSX 808の残響は過剰気味で少し不自然な印象がありましたが、BK50にはそれがなくより自然な感じがします。

ヴァイオリンの倍音は多めですが、若干柔らかめな音です。キレはそこそこですが、広がり感はかなりあります。ピアノの響きは普通ですが、キレは結構あり音の輪郭はくっきりしています。トランペットはきらびやかな音で、伸びもかなり優秀です。女性ボーカルは透明感と音の艶がすばらしく、抜群の相性です。男性ボーカルも深みや豊穣さが感じられ、やはりかなり相性が良いです。ベースの音は弾力感はそこそこですが、沈み込み感は結構あり存在感は充分です。ドラムはやや重めな鳴り方です。迫力もあり存在感は充分です。

全体的に中庸な脚色感の音色なので、音楽ジャンルとの相性はあまりなくいずれも満足度の高い音で聴くことができます。バンド編成物は華やかさが際立ち、音の抜けも良いです。ポップスやロック系も華やかな鳴り方で、ノリの良さも味わえます。ジャズ系もスイング感にあふれており、かなり相性が良いです。ブラス物はきらびやかで伸びある音で、かなり相性が良いです。ボーカル物もクリアかつ自然で聴き易く、ちゃんと楽器と同じ位置で歌っているように聴こえます。大編成オーケストラ物も華やかで落ち着き感もしっかりあります。クラシック系は華やかさとまとまり感が絶妙なバランスで両立しており、広がり感もあり抜群の相性です。電子楽器が多用されたテクノポップ系もキラメキやスピード感があり、なかなか相性が良いです。

音質傾向


弱ドンシャリ、ウォーム系、リスニング系

音質評価


高音域:★★★★☆
中音域:★★★★☆
低音域:★★★★
音質感:★★★★☆
音場感:★★★★☆
解像感:★★★★
※「音質感」についての説明はこちら

総合評価


HLSX BK50の音質はHLSX 808で不評だったボーカルが楽器より引いた位置で聴こえるという欠点を改善したものらしいです。この2つを聴き比べてみると、確かに中高音域の厚みに差がありBK50の方が上のように感じられます。ただし、低音域の量感はBK50の方が少し控えめです。トーンバランスはBK50の方が私の好みに合っていますが、ポップスやロック系のノリの良さはHLSX 808の方が少し上に思えます。ただし、音の見通しの良さや空間表現力は明らかにBK50の方が上で、女性ボーカルのライブ物や大編成オーケストラ物との相性は絶品の域です。HLSX 808は万能型でしたが、BK50の音質はそれ以上の万能型に思えます。

BK50は音質傾向はSendiy M2と少し似ている気がします。どんな音楽も満足度の高い音で鳴らす万能型でボーカルや大編成オーケストラ物との相性が抜群に良いという点も似ていますが、BK50はM2ほど濃くなく全体的にすっきりした音です。どららも2chの中華イヤホン・スレで頻繁に名前が出ますし、価格も近いのでライバル機種と言えます。この2つはなかなか良い勝負をしていますが、中高音の質感重視ならBK50、中低音の質感重視ならM2という基準で選べば良いんじゃないかと思います。音場感のグレードも近いですが、単純な音場の広さを比較するとM2の方に軍配が上がるでしょう。余裕の感じられる鳴り方という観点でもM2の方が上です。ただし、解像感はハイブリッド型のBK50の方にやや分があるように思えます。M2が中華イヤホンの銘機なら、BK50の音質もそう呼ぶに相応しいものだと言うべきでしょう。

評価ランク:★★★★☆

商品ページ


MaGaosi/HLSX BK50

http://www.aliexpress.com/item/Original-HLSX-BK50-Hybrid-In-Ear-Earphone-Driver-BA-With-DD-HIFI-Earbuds-Double-Unit-In/32710990215.html
AliExpress.com Product - New HLSX BK50 Wooden Pink Hybrid Balance Armature With Dynamic IEM HI-FI In Ear Earphones Earbuds with Mic and Volume Control

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2017-02-20 13:58 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

MaGaosi/HLSX 808 レビュー

最近入手したイヤホンを立て続けに紹介してきましたが、少し前に入手したイヤホンでやはり感銘を受けた物があるので、それのレビュー記事を書こうと思います。去年の10月に入手したHLSX 808という中華イヤホンがそれです。

HLSXは2016年から本格的に製品販売を始めた中国の新興イヤホン・メーカーです。最初は低価格製品を中心に展開しており、その頃は「HLSX(HiLiseningの略記)」というブランド名を使っていましが、去年の後半から$100クラスの製品の販売も始めて、ブランド名を「MaGaosi」に変えたようです。最初の製品のHLSX 808がHead-Fiで高く評価されことがきっかけとなって、日本の中華イヤホン・マニアもこのメーカーに注目するようになりました。私がHLSX 808を入手しようと思ったのは、2chの低価格帯中華イヤホン・スレで本機の話題に出ていたからです。

私が入手したHLSX 808はマイクなしのモデルですが、マイク&リモコンつきのM1というモデルもあります。M1の方は複数のオーディオ・メーカーにOEM提供されており、Amazonでも販売されています。

なお、本レビューは50時間程度のエージングを行った上で書いています。箱出し直後は高音域が硬めでシャリつきが目立ちましたが、その傾向はエージングによって大分改善しました。また、エージングによって低音の締りや音の粒立ちも良くなりました。

また、本レビュー記事から新たに「音質感」という評価項目を追加します。これは音域全体を広く見渡した質感のバランスを意味しており、リアルな音の質感にいかに近いかという印象も含まれています。英語だと“texture”(質感、手ざわり、肌合い)が一番近い意味の単語になるでしょうか。いままで個別の音域の量感や質感は採点してきましたが、これらだけでは全体的な音の質感から受ける印象が読者へ伝わり難いと思うようになりました。各音域の量感や質感が多少劣っていても、総合的な質感バランスが優れていることによってすごく聴き易い音だと感じるケースもあります。そういうケースをしっかり評価するにはどうすべきか悩んだ末に、この項目を追加することしました。一般的にはあまり使われていない単語かもしれませんが、本ブログにおける「音質感」は左記のような意味だという前提で読んでください。

特徴、外観


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HLSX 808は口径10mmのチタン振動板ダイナミックとBAドライバを1基ずつ搭載した1DD+1BAのハイブリッドイヤホンです。

ハウジングの素材は軽量ステンレスのようです。本体ボディの造りはしっかりしており細部の仕上げも優秀です。色はBlack、Blue、Red、Rose、Yellow、Goldの6つのバリエーションがあります。本体ボディのサイズは標準的ですが、重量は軽い方です。ステム径は標準的で、大抵の標準ステム径用イヤーピースが使えます。

製品の付属品は、4セットのイヤーピース(シリコン製S/MS/ML/L各1セット)とケースのみです。

音質印象


HLSX 808の音を聴いて、特に印象が強かった点を先に列記します。

  • 透明感とキラメキが印象的な聴き易い音質感
  • 価格からは信じられないほど質の高い音場感
  • 女性ボーカルや大編成オーケストラ物との相性が特に良い

高音域は若干線が細めで少し硬質な感じですが、量感は充分にあります。伸びもなかなか優秀です。金属的で少しキンキンした鳴り方の高音ですが、透明感とキラメキが印象的な澄み渡るような上々の質感です。ただし、音源によっては若干シャリつきを感じることがあります。中音域は厚みが少し物足りませんが、音に艶が感じられ、こちらも上々の質感です。低音域の量感は充分以上です。力感も結構ありますが、締りやキレは物足りなくかなり膨よかでボワつき気味です。十分に制動が効いておらずやや緩めな印象はありますが、広がりや深みは申し分なくなかなか上質な低音です。周波数特性は高音側と低音側を大分持ち上げたV字型ではないかと思います。全体的に抜けが良くきらびやな音で、しっかりと作り込まれた印象が強いですが、かなり聴き易いリスニング系のトーンバランスです。

音場はかなり広いです。どの音域にも豊かな残響・余韻があり、横方向への広がりは充分にあります。物足りなさはありますが、奥行き感もそこそこあり、見晴らしの良さも感じられます。分離感はそこそこですが、定位感は結構あり、楽器の鳴っている位置が判り易いです。透明感が印象的な澄み渡るような音場感は価格からは信じられないほど優秀です。解像感もなかなか優秀な印象です。ただし、HLSX 808の音場感はハウジングの反響によって作り出されている印象が強く残響が過剰気味な感じもするので、この点は好みの分かれるところかもしれません。これを不自然な音場だと感じる人もいるんじゃないかと思います。

ヴァイオリンの倍音は多めですが、硬めでも柔らかめでもない中庸な音です。キレはそこそこですが、広がり感はかなりあります。ピアノの響きは普通です。キレはそこそこですが、音の輪郭は結構くっきりしています。トランペットはきらびやかな音で、伸びもなかなか優秀です。女性ボーカルは透明感と音の艶がすばらしく、抜群の相性です。男性ボーカルにも透明感があり深み・豊穣さも感じられ、かなり相性が良いです。ベースの音は弾力感はそこそこですが、沈み込み感は満点で存在感は充分以上です。ドラムはかなり重めな鳴り方です。迫力も満点で十二分な存在感です。

全体的に脚色感強めで派手さのある音色ですが、音楽ジャンルとの相性はあまりなくいずれも満足度の高い音で聴くことができます。バンド編成物は派手さが際立ち、音の抜けも良いです。ポップスやロック系は華やかかつ派手な鳴り方で、ノリの良さも味わえます。ジャズ系もスイング感にあふれており、かなり相性が良いです。ブラス物はきらびやかで伸びある音で、なかなか相性が良いです。ボーカル物もクリアで聴き易いですが、楽器より少し後ろに下る傾向があります。大編成オーケストラ物も華やかさが際立ちますが、落ち着き感は物足りません。クラシック系はまとまり感にはやや欠けますが、華やかさや広がり感は申し分なく一番に相性が良いです。電子楽器が多用されたテクノポップ系はキラメキはありますがスピード感が物足りなく、まぁまぁの相性です。

音質傾向


中ドンシャリ、ウォーム系寄り、リスニング系

音質評価


高音域:★★★★
中音域:★★★★
低音域:★★★★
音質感:★★★★☆
音場感:★★★★☆
解像感:★★★★
※「音質感」についての説明はこちら

総合評価


HLSX 808の音質は下位クラスからグレードアップした人ならほぼ全員が満足できるものだと断言できます。

$100クラスのイヤホンと比較すると、音域感はかなり無理をして作り込んだ感じで少し不自然な印象もありますが、全体的な質感バランスが良くすごく聴き易く音です。特に音場感は優秀で、$100クラスの機種にさえ負けていないほどグレードの高いものだと思います。大編成オーケストラ物との相性が特に良いことからも潜在能力の高さがうかがえます。$50以下の低価格イヤホンで、音数の多い大編成オーケストラ物をこれほど満足度の高い音で鳴らす物はなかなかありません。本機はHLSXの最初の製品ですが、いきなりここまで高音質なイヤホンを開発できることは驚愕に値します。

HLSX 808の現在の販売価格は$35〜40なので、$10〜$20クラスからグレードアップするには最適な機種です。$40〜50クラスにはライバル機が多いですが、$30〜40クラスの中ではトップクラスの優秀な音質です。ハイブリッドイヤホンの入門機としてもベストな選択の一つとだと言えます。$50以下の初めての中華イヤホンとしてもお薦めな機種だと思います。

評価ランク:★★★★

商品ページ


MaGosi/HLSX 808

http://www.aliexpress.com/item/Woting-Original-HLSX-808-Hybridd-In-Ear-Earphone-Dual-Driver-BA-With-DD-HIFI-Earbuds-Double/32677279805.html
AliExpress.com Product - 2016 Origina HLSX-- 808 HLSX-- 18 Hybridd In Ear Earphone Dual Driver BA With DD HIFI Earbuds Double Unit In Ear Headset

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2017-02-19 13:43 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tennmak Crazy Cello レビュー

最近入手したイヤホンを続けて紹介していますが、またしても感銘を受けた物があるので、そのレビュー記事を書きます。Tennmak Crazy Celloという中華イヤホンがそれです。このイヤホンを入手したのは去年の12月で、AliExpressのメーカー・オフィシャルストアから購入しました。

Tennmak Proなどによって高い評価を獲得しているTennmakというガレージメーカーが去年の10月に発売した新製品です。去年の9月にTennmak Proのレビュー記事を本ブログに掲載したことをメーカーへ伝えたのですが、それ以来メーカーの中の人と情報交換をするようになりました。新製品のCrazy Celloが発売されたことは知っていましたが、すぐに入手したいとは思っていませんでした(私の興味はユニバIEM機へ移っていたからです)。その後しばらくして、Crazy Celloに興味がある旨をメーカーへ伝えると、同機のレビューを書くなら特別価格で売ってくれるという申し出があり、この申し出を受けてレビュー者向けの格安価格でCrazy Celloを購入しました。なお、レビュー記事には私自身が感じた率直な内容しか書かないという条件をあらかじめてメーカーへ伝えて了承を得ています。

Crazy CelloはHi-Res対応であることを前面に押し出して販売されており、商品ページには再生応答周波数として5Hz〜70kHzというデータが記載されています。大抵のHi-Res対応イヤホンの再生応答周波数の上限値は40kHzなので、これはとても信じられない数値ですが、こういう大げさなデータを堂々と記載しているのはいかにも中国のメーカーらしいです(こういうのは温かい目で見てあげましょう)。この数値が眉唾だとしても、Crazy Celloの音域の広さはすごく優秀です。

特徴、外観


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※上の写真では、光の加減で本体ボディの色は薄い紫に見えますが、実際の色はグレーです。

Crazy Celloはダイナミック型ドライバを1基搭載しています。ドライバの詳細は公開されていていませんが、本機用に特別に設計された物が使われているらしいです。

ハウジングの素材は航空機グレードのアルマイト加工アルミニウムが使われています。サイズは標準より小さめで、重量も軽い方です。ステム径は標準より少し細いですが、大抵の標準ステム径用イヤーピースが使えます。外見からだけの判断ですが、ケーブルの材質もかなりグレードの高いものが使われているような印象です。このケーブルは柔らかく、癖はつきにくいです。

本体ボディの形状は逆円錐形です。形状的にSHURE掛けもできそうに思えますが、SHURE掛けだと装着感が安定しないので通常掛け専用で使った方が良いです。本イヤホンは耳孔への装着具合によって音質が変わるので、装着位置をしっかり調整する必要があります。大きめのイヤーピースを使い、浅めに耳孔へ挿し込む方が良いようです。

なお、本レビューは100時間程度のエージングを行った上で書いています。箱出し直後は高音域の硬さが目立ち、低音域の量感も少し物足りませんでしたが、これらの傾向はエージングによって改善しました。

音質印象


Tennmak Crazy Celloの音を聴いて、特に印象が強かった点を先に列記します。

  • 価格からは信じられないほどの音域の広さ
  • 豊かな残響・余韻によって創られる広めの音場
  • どんな音楽もかなり満足度の高い音で聴くことができる
  • 特に大編成オーケストラ物との相性が良い

高音域は若干線が細めで少し硬質な感じですが、量感も伸びも充分にあります。透明感と見通しの良さが印象的な澄み渡るような高音で、まるでBAドライバが出しているような特筆モノの質感です。中音域は僅かに中高音寄りの重心です。厚みは少し物足りませんが、音に艶が感じられ、こちらも上々の質感です。低音域の量感は充分以上です。力感も結構ありますが、締りやキレは少し物足りません。広がりや深みは申し分なく、ダイナミック型の良さを上手く引き出していると思える上質な低音です。周波数特性は高音側と低音側を持ち上げたV字型ではないかと思いますが、音域の広さがすごく印象的です。高音の存在感が他より少し強めですが、なかなか聴き易いリスニング系のトーンバランスです。

音場はかなり広いです。どの音域にも豊かな残響・余韻があり、横方向への広がりは充分にあります。物足りなさはありますが、奥行き感もそこそこあり、見晴らしの良さも感じられます。分離感も結構ありますが、定位感はかなり物足りません。高音と中低音の両方の残響によって創られた透明感と広がり感が絶妙なバランスで、いままでの低価格なダイナミック型では味わったことがない音場感です。解像感もかなり優秀な印象です。

ヴァイオリンの倍音は多めでやや硬めな印象です。キレはそこそこですが、広がり感は充分にあります。ピアノの響きは少なめですが、エッジの効いた輪郭のくっきりした音です。トランペットはきらびやかな音で、伸びもなかなか優秀です。女性ボーカルは透明感と艶が感じられ、かなり相性が良いです。男性ボーカルにも透明感があり深み・豊穣さも感じられ、なかなか相性が良いです。ベースの音の弾力感や沈み込み感はそこそこで、まぁまぁの存在感ですが、締りやキレは不足気味です。ドラムはかなり重めな鳴り方です。迫力も満点で十二分な存在感です。

全体的に脚色感強めな音色ですが、音楽ジャンルとの相性はあまりなくいずれも満足度の高い音で聴くことができます。ただし、高音の質感が硬めで少し鋭すぎる印象があるので、高音成分が多めな音楽だと聴き疲れするかもしれません。バンド編成物は華やかさが際立ち、音の抜けも良くメロディーラインが聴き取り易いです。ポップスやロック系は華やかで、ノリの良さや弾むようなリズム感も味わえます。ジャズ系もスイング感にあふれており、なかなか相性が良いです。ブラス物はきらびやかで伸びある音で、やはり相性が良いです。ボーカル物もクリアで聴き易いですが、楽器より少し前に出る傾向があります。大編成オーケストラ物も華やかさが際立ちますが、落ち着き感は少し物足りません。クラシック系はまとまり感にはやや欠けますが、華やかさや広がり感がすばらしく一番相性が良いです。電子楽器が多用されたテクノポップ系はキラメキやスピード感があり、かなり相性が良いです。

音質傾向


中ドンシャリ、ウォーム系寄り、リスニング系

音質評価


高音域:★★★★☆
中音域:★★★★
低音域:★★★★☆
音場感:★★★★☆
解像感:★★★★

総合評価


Tennmak Proは価格グレードを超えた音質だったので、Crazy Celloにも期待していたのですが、その音質は期待以上でした。

Crazy Celloの正価は$66.53(大体常時セール中で、本記事投稿時の販売価格は$49.90になっています)ですが、その価格からは信じられないほどグレードの高い音質に驚いてしまいました。私がいままで試聴した5千円以下のイヤホンの中では飛び抜けて優秀な音質で、1万円前後の機種とさえ良い勝負をしているほどです。音質要素の細部を比較すると、上位クラスの機種には及ばない点もありますが、総合的な音質で比較するとなかなか良い勝負をしているように思えます。特に音場感は優秀で、上位クラスの機種にさえ負けていないほどグレードの高いものだと思います。

ただし、Crazy Celloの音質には無理をして頑張りすぎている印象があります。$100クラスの機種と比べると余裕の感じられる鳴り方とは言えず、ドライバの性能を極限まで引き出しながら鳴っているんじゃないかと思えます。音域感も価格を超えた優秀さであることは確かですが、全体的な音の厚みは物足りなさを感じます。価格から考えると、この辺まで望むのは要求レベルが高すぎると言うべきしょう。

低価格帯の中華イヤホンの中で私が一番気に入っているのはSendiy M2ですが、これからはM2とCrazy Celloを使い分けていこうと思っています。M2の音色が柔ならCrazy Celloは剛という感じなので、この2つは上手く使い分けることができそうです。中国製も含めて5千円以下のハイレゾ音源を聴くのに向いた解像度高めのイヤホンを推薦するように求められたら、いまなら迷わずこのCrazy Celloを薦めるでしょう。

Tennmakはいまのところ$50クラス以下のイヤホンしか販売していませんが、いずれの主力製品も購入者数は100を超えており、さらにフィードバッグ評価スコアも4.6〜4.9という高い値になっています(どちらも本記事投稿時の数字)。Tennmak ProやCrazy Celloの音質からもその技術力の高さがうかがえます。このメーカーにはぜひハイブリッドイヤホンを開発してくれることを望みたいです。

中国国内にはイヤホン専門のガレージメーカーがいくつも存在します。それらが切磋琢磨しながら日々製品開発に勤しんでおり、次から次へと優秀なイヤホンを生み出しています。いまや世界中のイヤホン製品の8割が中国国内の工場で生産されているので、これは特に驚くべきことではありません。Tennmakのような小さなガレージメーカーがCrazy Celloのような優秀なイヤホンを生み出せることが中華オーディオ業界の底力を示していると言えるでしょう。

評価ランク:★★★★☆

商品ページ


Tennmak Crazy Cello

http://www.aliexpress.com/item/Tennmak-Crazy-Cello-Hi-Res-In-Ear-Loseless-Metal-Earphone-High-Quality-Ensurance/32755873753.html

2017-02-08 13:03 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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